medisere メディセレ 川井 児島

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サンキュードラッグ株式会社 代表取締役社長 平野健二
対談目次   【第1回】 信頼される薬剤師像
    【第2回】 信頼の裏付け
    【第3回】 アメリカの制度と薬剤師

第1回 信頼される薬剤師像
 

児島 : 平野社長は、アメリカに留学なさってMBAを取得されていますが、アメリカの薬剤師の存在はどのようなものでしたか?

平野 : 1980年代から約20年間、2001年9月11日まで、アメリカにおいて薬剤師は「信頼される職業No.1」の地位を獲得・継続しました。その後薬剤師に代わってトップの座に就いたのは消防士であり、それに次ぐ地位を得たのは看護師です。

児島 : ということは「薬剤師の地位が下がった」ということなのでしょうか?

平野 : 薬剤師は決して地位を下げたのではなく、あの、すべての人の記憶に残る事件で消防士や看護師が命を賭して活躍する姿に人々が感動を覚えたからに他なりません。アメリカと日本、法律や国民性は異なりますが、何が人の心を打ち、信頼の基となるかにおいて、極端な相違はないような気がします。

児島 : なるほど。では薬剤師は今も尚、「最も信頼される職業の一つ」と考えて良いわけですね。では、薬剤師が信頼され続けている理由とは何でしょうか?アメリカでは、いち早く薬剤師の6年制教育に取り組んでいますよね。

平野 : その信頼は、決して6年制教育によるものだからでないと私は考えています。そもそもアメリカで6年制課程の卒業生が活躍を始めたのは1990年代後半になってからだという事実に、容易に裏付けられます。実はもっともっとはるかに地味な、それでいて身近な存在であり続けたことにその最大の要因があったことを、私たちは知らねばなりません。

児島 : そうですね。確かにアメリカの医療では、プライマリーケアは薬剤師が担当していると聞きます。薬剤師の存在が最も身近で、社会の人々への貢献度が高いからこそ信頼を得ている、そういうことですね。

平野 : アメリカで華やかな仕事と言えば、政治家、実業家、弁護士、医師がその代表でしょう。しかし彼らは高収入や権力故に「憧れの職業」に成り得たとしても、「信頼される職業」には程遠いのです。医師や弁護士に相談を持ち帰ればそれこそ「1分いくら」で請求書が届きます。それが高収入の基礎になっているわけですが、その点、薬剤師はドラッグストアの店頭でいつもにこやかに私たちを迎えてくれ、相談には「笑顔で喜んで」「無料で」応じてくれるのです。

児島 : アメリカではある程度の収入が無ければ、医師の診察を受けることも難しいですからね。確かにそのような社会では、薬剤師の必要性は高いはずです。しかし、プライマリーケアを薬剤師が担うということは、薬剤師に内科医と同程度、またはそれ以上の知識とコミュニケーションスキルが必要になりますね。

平野 : そうです。アメリカの薬剤師は、日本の従来の薬剤師に比べてはるかに幅広く深い医療に関する知識を持っていて、それがベースにあることはもちろんですが、そのことは当然のことであって、その知識を、我々の日常生活に生かしてくれることに価値があるのです。学生の皆さんも、大学のある教授がいかに研究面で優れた方であったとしても、その方が学生に伝える努力をなさらないとしたら、決して優れた教育者と呼ばれないことをご存知のはずです(だからと言って、学生が自分の「知る努力」をおざなりにしてはいけません)。

児島 : その通りですね。それこそ高いコミュニケーションスキルが必要になりますね。日本の6年制カリキュラムでも5年生以上は、コミュニケーションスキル向上に大きなウェイトが置かれています。また、社会貢献をするために高い意識も必要とされています。

平野 : アメリカでは、私たちが店頭で相談したからといって、そのために薬剤師から料金を請求されることはありません。保険制度の違いもありますが、相談に乗ることは何ら直接的に経済的メリットをもたらさないのです。薬剤師は「薬物療法を通じて生活者のquality of lifeを向上させる」ことが仕事であって、「薬を売ること」や「相談にのること」で収入を得るのではないと、学生時代から徹底的に教育されます。

児島 : なるほど。アメリカではそのようなプライマリーケアを担う薬剤師としての精神教育もすでに行われているのですね。

平野 : 私は2004年にニューヨークのSt.John’s大学、2007年にオレゴン州立大学で薬学教育の視察をさせてもらいましたが、いずれにおいても、薬学生は専門教育課程に進む段階で「何故薬剤師になりたいのか」、その動機を徹底的に問われます。その動機や信念が薬剤師にふさわしくないと判断された場合には、決して臨床薬剤師(Pharm.D)のコースに進学することはできないのです。

児島 : アメリカでは入学する段階で、また、進学する段階で、学生が高い意識を持っているのですね。日本では、理想や高い意識を持って入学する学生もたくさんいますが、「何となく」、「資格が欲しいので」、「親の勧めで」という薬学学生も多いと思います。この徹底的な動機づけ、意識付けが質の高い薬剤師を生み出しているのですね。

平野 : 私は、アメリカの薬剤師に関する著述をする際に必ず、「信頼の基になっているのは、もちろんしっかりとした知識や技術の裏付けによるけれども、その上で(1)easy access(=ドラッグストアの店頭でいつでも気楽に話しかけられる)(2)free access(=相談に対して金銭をチャージされない)ことで身近な存在になっていることが大切なのです」と述べてきました。今回、そのことを確認の意味でアメリカの業界専門誌「ドラッグストアニュース」に44年間携わり、現在副社長を務めるMr. Jay Forbesにぶつけてみました。彼の答えはこうでした。「君の分析は全く正しい。でも、それにあえて一つ付け加えるとしたら、アメリカで数万人いる薬剤師が、企業に勤める者としてどんなに利益をもたらす薬剤や医療行為があるとしても、プロの医療人として、目の前にいる患者さん(相談者)にベストと自分が信じる行為を実行することを優先してきたことだ。」もちろん、このことは気づいてもいたし、社内研修でも折に触れて言ってきた事ではありましたが、薬剤師に対する信頼の基として必ず付け加えるべきであったと、改めて思わされた次第です。

児島 : 確かに、「患者にベストを尽くすこと」これが根底に無ければ、これほどの「社会からの信頼」を得ることは難しいでしょう。次回は、この「社会からの信頼」がどのように獲得されてきたのかを、具体的に掘り下げてみたいと思います。今日は本当に有り難うございました。

 
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